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海外研究

海外研究

1. 英国のアーバンビレッジ  

 1990年代英国のアーバンビレッジは英国の都市づくりに大きな影響を与えてきた。 第二次世界大戦後、英国は住宅不足が深刻化し、郊外部に大量な住宅開発を行う。それは画一的で、安く大量につくられ質の悪い住宅であった。また産業構造の変化や不況による社会問題も相まって、80年代には、荒廃による生活環境の悪化やコミュニティ問題も深刻化していった。
 しかし80年代初頭、サッチャー政権により、行政と民間の連携による市場主義の「都市の再生」路線に転換し、都市づくりの考え方、概念も大きく転換していく。90年代以降、英国の景気は回復し、新しい都市理論やデザインに基づいた新しい開発が次々と行われ、英国の都市や住宅地は大きな変貌を遂げていく。その大きな転換の契機をつくったのは、チャールズ皇太子であった。1990年代の初頭にチャールズ皇太子によってアーバンビレッジが推進され、1997 年には、国の計画行政指針にもアーバンビレッジの考え方が組み込まれた。そのあとも、アーバンデザイン、ミレニアムビレッジ、ネイバーフード、コンパクトシティなど様々な都市理論が展開されて行った。 
 アーバンビレッジの理念、生まれた背景、その実態を明らかにすることは、英国の抱えてきた都市問題、これまで取り組んできた都市づくりの歴史、および今後英国が目指している都市像を教えてくれる。それはまた我が国が目指すべき都市像にも有益な知見を与えてくれると考える。

参考文献) 

1)近隣モデルとしての英国のアーバンビレッジ
  野嶋慎二|2011年度日本建築学会大会都市計画部門PD「スマートシュリンクと空間管理」|2011.8 



2. 英国の集落の研究 

 英国の集落はコッツウォルズをはじめとして美しさにおいて世界的に有名である。また、その生活を見ると、自然と親しむ英国人の気質が反映され、集落は良好な居住地として持続している。とくに、コミュニティの拠点である、パブや集落センターだけでなく、近年では、日常の生活を支えるショップを地域コミュニティが運営するコミュニティショップがでてきたり、集落の農家を先端的なオフィスにコンバージョンしたりしながら、集落地域の持続性を高めていく実践が多く行われている。 
 こうした英国の集落の取り組みを研究することは、過疎化した我が国の農村集落の持続性を高めるための基礎的な知見が得られると考える。 

参考文献) 

1)英国における集落建物の業務用途への活用実態に関する研究

   -オックスフォード近郊の集落アーディントン&ロッケンジを対象として-
  堀部修一、石原周太郎、野嶋慎二|日本建築学会計画系論文集|NO.672 p393|2012.2 

 

2)英国集落における住民主体のコミュニティショップ活動に関する研究

   −オックスフォードシャー県の14集落を対象として−

 

  堀部 修一 、野嶋 慎二|日本建築学会計画系論文集|NO.691 p1947-1956|2013.9 




3. 中国城中村(西安市)の研究 

 中国では1978年に始まった改革開放政策以来、急激な都市化により都市周辺部の農民の住む集落が市街化される中に、取り残される地区が生じる問題が発生した。これらの地区は城中村(街の中の村)と呼ばれ90年代から大中都市の周辺部に発生している。城中村では、農民が生計を立てるため、狭小な街路と敷地に5,6階の賃貸住宅を建て、その結果、高密な居住空間が形成され、その住環境の改善が急務とされている。西安市中心部6区にある187城中村を対象とする城中村の空間や生活の実態を明らかにし、その再生方法を提示する。 



参考文献) 

1)城中村の改造方法と村民生活の変化に関する研究-中国西安市西何家村の事例- 
  易洪艷、野嶋慎二|日本建築学会計画系論文集|NO.673 p583 

2)城中村の借家人の居住履歴とその受け皿機能に関する研究―中国西八里村の事例― 
  易洪艶、野嶋慎二|日本建築学会計画系論文集|NO.623 p79-86|2008.1 

3)城中村の居住空間構成とその変容に関する研究―中国西安市西八里村の事例― 
  易洪艶、野嶋慎二、沈シェン|日本建築学会計画系論文集|NO.605 109-117|2006.7 

 


 

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